サンパウロの友人が「こっちに遊びに来ないの?」と電話あり。W杯の観戦に来ないのかという意味。ホテルじゃなくてウチに泊まれと言ってくれたのだけれど、ミジンコはブラジル人と長いこと付き合っていたこともあるくらいブラジル人とは気が合うとは思うのだけれど、ブラジル自体は望んで訪れたことがないほどリスクを感じる。武装した護衛がいても怖いと思った場所はド田舎で見晴らしの良い紛争地帯よりもリオやヨハネスブルクといった治安の悪い都市部。街全体が襲ってくるような感じがしてどこに注意すれば良いのか分からないから。発砲音がしてもどこから音がしたのか分からない上にどこが光ったかも分からない。その上、住民たちの誰が一般人で誰が犯罪者なのかも判別がつかないのだからどの通行人に警戒するべきなのかも分からない。ブラジル人で強盗やひったくりに遭ったことがない友人が一人もいないのだ。むしろ何度も被害に遭っているという話の方が多い。
観光地でもあるリオなどではストリートチルドレンが多数。観光客に集団で襲い掛かる。それだけでも酷いものだがもっと酷いのはそのストリートチルドレンが観光地の評判を落とすという理由で夜中に次々と殺されていること。その処刑部隊を雇っている者たちも処刑部隊の素性も絶望的。氷山の一角とはいえ、そういう殺人事件の容疑者たちは観光地の商店主だったり警察官だったり、昼間は気さくで親切だと評判だったりする。つまり彼等はストリートチルドレンは人間とは見なしておらず、観光客は大切なお客様なのだ。その現実を知ってからブラジルを観光地として見られなくなった。児童の労働問題や人身売買など、世界には対応しなくてはならないことが多過ぎる。手が足りない!とたまに狂いそうになるときがある。
ブラジル人の友人からしてみれば治安は絶望的に悪いが生まれ育った故郷なので自分は住みやすいということらしい。まぁ、それは理解できる。遊びに来いと誘ってくれるのも有難い話だ。それでも自分としてはブラジルは遊びに行く為の場所だとは考えられない旨を伝えて丁重にお断りした。その電話の最中にお別れイベント開催中の国立競技場の近くを通り過ぎた。6年後のオリンピックの準備の為に改装工事が行われるための式典が行われていると友人に伝えた。
「ブラジルもW杯のスタジアムをそろそろ建て始めるよ~、ワ~ハッハッハッ!」と友人。
良かった。既に設計図は出来上がっているらしい。
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