今では月に1~2回程度しか書道用具を開くことも無くなった書家ですらない当ブログの管理人ミジンコではるが、それでもたまには書に触れないことには書の師や先輩の方々に「高校生のときの方が(書に)真面目だった」という有難くない評価を払拭できない。ああ、不真面目さ!そんなに普段から筆を持っている暇があるわけないじゃん!とか心で思いながら口にも出してしまうミジンコを毎年なにかしらの行事にまだ呼んでくれる先生たち、ありがとー!
ともかく、昔は何時間も耐えられた正座もできず、「弘法筆を選ばず」ならぬ「俺の場合は良い筆を使ってもダメ」なので高い筆を買わなくなったミジンコとしては、せめてネタとして当ブログが考えた今年の漢字として「税」を選んでいた。要は応援しつつも批判もしている安倍政権への嫌味だ。アベノミクスが頓挫した最大の理由は消費税8%への増税であることは各数値からしても明らかであり、しかも衆院解散の理由が1年半先送りする消費税10%への増税の民意を問うと安倍総理は訴えている始末。
結局、10%に上げるんかい!と憤ったのは当ブログだけではないことだろう。通常、民意を問うというからには「白か黒か」とか「0か1か」といった対極にある判断材料について「どちらを選ぶのか?」と問うべきだ。つまり安倍総理が言うべきは「消費税を上げるべきか否か」であったはずなのに実際には「消費税を1年半先送りするけれど結局は10%にしますよ」という、どうあっても消費税は増税すると決めた上での「どっち?」なのだ。こんなものは消費税増税に反対の国民は選びようがない。
そういう消費税増税ありきで事を進める安倍政権、財務省にいいように踊らされている閣僚たちへの批判として今年の漢字を「税」にしようと思って筆も硯(すずり)もスタンバッていた。
ところが・・・・・
今年の漢字の本家本元の清水寺が先程「今年の漢字」を発表した。清水寺・森清範貫主の揮毫(きごう)により発表された漢字は「税」だった。このイベントの主催は日本漢字能力検定協会。今年4月から消費税率が17年ぶりに引き上げられたこと、10%の引き上げが議論されたこと主な理由だそうな。
過去には様々な内部問題が発覚した漢字能力検定協会の主催とはいえ、お寺(清水寺)の住職が揮毫する姿が印象深い行事であり、毎年「今年はこの漢字だった」と大きなニュースとなっている。2位以下に選ばれた漢字、特に「嘘」の方が遥かに今年の漢字という印象がある。当ブログの管理人はあくまでも政治関連のことを取り上げることも多い故に「税」を選んだが、今年は「嘘」や「虚」といったゴーストライティング、実験結果の捏造、議員の出張費疑惑など捏造関連のニュースが異様に多く、「税」よりも「嘘」が圧倒的に今年のイメージに合致している。
それでも今年の漢字は「税」なのだそうだ。あくまでも漢検協会という一協会が勝手にやっているイベントであり、清水寺も日本屈指の有名なお寺ではあるとはいえ一寺院。そういった組織が自由気ままにやっていることだと言われてしまえばそれまでだが本日も明日もワイドショーや報道番組ですらこの「今年の漢字」を大きく取り扱うのだ。もう3日後に迫った総選挙投票日の直前に延々と今年の漢字は「税」でしたと各マスコミが報じることだろう。安倍政権が増税をしたというイメージを刷り込むためには巧妙な手だなと呆れる次第だ。
政権を担った期間が圧倒的に長い自民党からしてみれば総選挙前のマスコミ各社のネガキャンは慣れっこなのだろう。だからこそ「些細なことに思える」こういった事が問題視されもしない。公職選挙法どころか民主主義国家に於いて報道機関が投票日直前に恣意的な報道をすることは重大な犯罪となる。特定の政治的思想に基づくイメージコントロールは断じて許されないことだ。増税に反対な当ブログであり、勿論のこと消費税増税には大反対なのではあるが、かといってマスコミ各社が今回の今年の漢字「税」を利用して投票日までの3日余り、これでもかというくらいに増税負担の苦しみを有権者に想起させて投票傾向を恣意的に変更させることは受け入れがたい民主主義への裏切りだ。民主主義の主役は有権者であり、マスコミでは断じて有り得ないのだ。そもそも今回の「税」にしても視聴者・読者(=有権者)を操作できるという思惑が透けて見えてきて腹立たしい。舐められている有権者が怒るときだ。
確かに民主党が推進していたとはいえ、今の政権与党、つまり安倍政権が消費税8%増税を実行し、更に解散総選挙までして10%にしようとしている。それは事実だが、今年の漢字なる全国が注目するイベントでわざわざ「税」を選ぶこと、しかも投票日直前にだ。これを政教分離であるべきこの国の有名寺院が執り行い、マスコミ各社が鬼の首を取ったかのごとく「増税はきつい!」と報じる。そこには選挙前ならば尚更のこと慎重になるべき「公平性」も「中立性」もありはしない。こんな投票前の印象操作は看過できない。
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