朝日新聞がこういう内容の記事を掲載することが数ミリ前進というべきか、中国の出先機関としては韓国のことはどうでも良くて、今は日中友好が進んだほうが中国にも利が大きいと踏んだのか、兎にも角にも"朝日にしては"妙な記事ではある。
安倍首相の演説、韓国が遺憾表明 「おわび」なしを批判 (朝日新聞デジタル)
ジャカルタで開かれているアジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年首脳会議。安倍晋三首相が22日に行った演説について、
韓国は、戦後70年で過去の「おわび」に言及がなかった点を批判した。一方、東南アジア諸国に問題視する空気は薄かった。
(以降省略)
まぁ、朝日への警戒心を解かないにしても、現実としてアジア諸国と韓国とでは日本に対しての感情が大きく異なるということだろう。開き直るつもりはないが半世紀どころか70年前の戦争について現代の国際会議で毎度毎度議題に上げていても建設的ではないということが韓国以外のアジア各国首脳の総意なのだろう。
インドネシア・ジャカルタで開かれているアジア・アフリカ会議(バンドン会議)に出席している安倍総理。主催のインドネシア政府の安倍総理への対応はまさに歓待。日本の経済力の支援を是が非でも取り付けたいインドネシアにとっては日本は最重要パートナーの1国だ。あの中国でさえ態度を軟化させている。習近平国家主席としてはAIIBの件だけではなく、暴走するロシアによるいわば「北の脅威」が日に日に増している中、国内経済は不安要素というべきか今までのツケが溜まりに溜まっているわけで、親米にシフトしないわけにはいかなくなっている。親米にシフトしていく中で反日はまさに無理筋というもので、散々官制デモなどの被害を受け続けてきた我々としては調子の良い話には感じるが、今や中国の方が日本と仲良くしたがっている状況だ。赤サンゴ返せ、コノヤロウ!赤サンゴ漁に便乗して潜水艦用の航路データなど収集しただろう、コノヤロウ!など中国には言いたいことはチョモランマほどあるが、日本経済も正念場ではあるのでいちいち中国と反目して毎年尖閣問題で揉めるよりは両者にメリットがある貿易にエネルギーを使うほうが理性的だ。戦争の火種ばかり次々作り出すよりもモノを売り買いしてお互いが経済的に潤った方がよほど未来志向ということだ。
アジア各国の閣僚の弁は以下のとおりだ。
マレーシア・チーク通信マルチメディア相
「(おわびがなかったことに)大きな意味は見いだしていない。日本による占領という暗い時代、残酷な時代を多くのアジア人は心のなかに覚えている。しかし、今は前進すべき時だ。貧困のない、正義ある社会をどうつくるか。協力し合う必要がある」
ミャンマー・ワナマウンルウィン外相
「アジアとアフリカの途上国と協力を深めていく姿勢が示されて、いい演説だった」
「(「侵略」や「おわび」について)特に我々が言うべきことはない」
カンボジアのホー・ナムホン外相
「(おわびなどの言及は)安倍首相が判断すること」
インドネシア・外務次官
「演説で触れられていない言葉についてコメントはない」「主な関心は日本によるアジア・アフリカ地域への積極的な経済関与だ」
一方、
韓国外交省の当局者は、安倍総理のアジア・アフリカ会議でのスピーチについて「深い遺憾の意を表す」「安倍氏が村山談話など歴代内閣の談話や歴史認識を継承するとの立場を公言してきたにもかかわらず、「植民地支配と侵略」に対する謝罪と反省という「核心的な表現」を落とした」と剣幕だ。
現代のアジア・アフリカ会議の場でのスピーチで延々と70年前の戦争について言及する方が会議のテーマをぶんどる会議参加国として節度を欠いた行動だと考える。これは戦争責任を放棄するのとは異なる。アジア・アフリカ会議ではそのアジア地域におけるリーダーシップが執れる国である日本としての各国の期待に応えることが日本の責務だ。上記の韓国以外の閣僚の見解を見ても(戦争をこう言うのは良い表現ではないにしても)「70年前のこと(過去のこと)」よりも経済支援や技術移転について日本に注がれる各国の熱い眼差しに多少なりとも沿った発言を日本国の首相から聞きたいというのが各国首脳・閣僚の本心だろう。そういう重要な会議の場で延々と太平洋戦争の話ばかりではそれこそ各国政府が日本に失望してしまう。
日本は参加国の1国とはいえ、アジア・アフリカ会議では主導的立場でいることが義務づけられている経済大国であり先進国だ。各国閣僚の弁からしても日本への謝罪よりも建設的な議論が求められていることが明らかだ。ただ1国、韓国を除いてはそういうことなのだ。これがアジアの現実であり世界の現実だ。
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