本日、皆さんご存知のようにW杯予選、対コートジボアール戦で日本中が盛り上がっていた。渋谷で混雑のどさくさに紛れて痴漢行為をするといった不届き者も僅かながらいたようだが、総じて皆が日本代表の試合に一喜一憂、敗れはしたが楽しい時間を過ごせたように見えた。ミジンコも家族や友人たちとパブリックビューイングを開催したビアホールで大盛り上がり。本田の一発の後の胴上げでおとべっち落下という悲劇に見舞われたがビール片手に大勢で観戦するW杯は楽しかった。勝ち負けも大事ではあるが皆がひとつのことに夢中になるそんな瞬間は滅多にあるものではなく、とても有意義な時間を過ごせた。そういう意味では敗れはしたもののザック・ジャパンに感謝している。
試合が終わりパブリックビューイング会場で残念万歳をして解散。その足で所用のあった小金井へと向かった。駅までの道のりも電車の中でもサムライブルーのレプリカユニフォームの人たちが大勢いた。みんなワイワイガヤガヤと試合の感想に触れ、悔しがりながらも楽しそうだった。スポーツ観戦はひいきのチームが負けた時のほうが話が盛り上がるものだ。
東小金井駅に着いたのは午後2時ちょっと前。集団的自衛権に反対する署名集めを駅前で行っていたと思われる老人たちが5~6名だったろうか、後片づけをしていた。署名用紙やボードだけではなく拡声器もあった。東小金井駅をご利用の方々には珍しくもない光景だ。あの駅では頻繁にそういう署名が行われているのだ。乗降客の多い吉祥寺駅などでは滅多に見かけないそういう署名活動を東小金井駅ではウンザリするくらい頻繁に見かける。残念ながら我が故郷の小金井はそういう活動が盛んなのだ。今にして思えば自分は妙な土地で育ったんだなと思う。母親が所属する小学校のPTAが日教組とやり合って週刊誌の記事になったことがあると大人になってから聞いた。母たちはなにか得体のしれないものから我々子供たちを守ろうと必死に頑張ってくれたのだ。菅直人の地盤であり、民主党政権前の小泉政権などで自民党がまだ支持率が高かったときに都内では小金井・武蔵野の選挙区以外では小選挙区は全て自民党議員が勝っていたが、我が地元だけは菅直人が当選していた。それから8年もかかり、その間に菅直人は首相まで経験してしまった後にやっとのことで菅直人が小選挙区で落選(※ その後、惜敗率で復活当選、いわゆるゾンビ議員に。)していた。要はそういう土地なのだ。地元をこのままで済ませまいと奮闘しているのが今のミジンコだ。実際、だいぶ小金井は変わってきているのだ。
話は戻ってその駅前での署名活動。活動に参加していたのは全て老人だった。一番若い方でも65歳は超えていそうな風貌。「日本を戦争ができる国にしない」といった定番のフレーズが沢山書かれたプラカードやビブス(上に羽織るやつ)が嫌でも目立っていた。あの老人たちはつまりお昼の間ずっと署名集めをして拡声器で駅前の人々に訴えかけていたのだろう。そのすぐ10m先の駅施設内(私有地なのでそこでは署名活動はできない)ではセレクトスーパー・ガーデン自由が丘によるワインの無料試飲会が行われていた。
別に日本人だからといってW杯の日本代表戦を観戦しなければならないわけではない。やっと活気づいてきた駅前、穏やかな日曜日の昼下がりにワインの試飲を楽しむ人々と「日本が戦争をする国になっちゃうよ!」と恐怖を煽る老人たち。なんという対照的な光景だろう。あの老人たちが熱中症になっていないか心配だ。W杯のあの予選の間中、ずっと太陽の下で署名集め、高齢者たちの身体に負担がないわけがない。
集団的自衛権 「生きる権利をふみにじって何が首相だよ」(田中龍作ジャーナル)←こういう集会も行われていた。その記事の終わりに安倍政権に憤った落合恵子さんの言葉が掲載されている。「ここまで市民を無視し、ここまで市民を冒涜する内閣を私たちはかつて見たことがあったか?ここで怒らなければ市民ではない。生存権、人格権、自分を生きる権利を踏みにじって何が首相だよ」←こう述べている。なぜかこういう人々は「国民」でも「日本人」でもなく「市民」と表現することに違和感を感じる。首相の言動についてその影響を受ける人々の総称として「市民」とすることはおかしな表現だ。「国民」や「日本人」、はたまた「日本国民」などの表現を使えない事情があるかのようだ。ソース元の記事にこの発言をした落合恵子さん、大江健三郎さん、澤地久枝さんの集会参加時の近影写真が掲載されているのだが、生存権、人格権、自分を生きる権利を踏みにじられたと称するのにはいささか無理があると感じた。
4年に1回のW杯を楽しんで笑顔で街を闊歩する家族や友人たちがいる。やっと街にできたワインも沢山販売しているスーパーマーケットの試飲会を楽しむ人々もいる。猛暑の中、日本が戦争に突入するかのように叫び、首相に罵詈雑言を並べ立てる人々もいる。今の日本が戦争をしたがっていると非現実的な暗示を自分にかけて周囲を巻き込んでまで不安に怯える日々を過ごすよりも、実は普段は大してサッカーに興味が無くともW杯の時は試合を観戦して一喜一憂する日曜日を過ごす方が自分好みの生き方だ。日本は戦争をしない。W杯でワーワーギャーギャー!そんな平和な日本でいいじゃない。
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