この人が無知が故の失言をしでかしたのは何度目だろうか?
文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』にて、室井佑月さんが「普通の人は右とか左とか考えてないよ。中国とか韓国とかキライだって人がいるけど、意外と、とっぷりもうやってかないといけないほど関わっていると思うよ。
テニスの錦織くんのコーチだって凄く優秀な中国の方でしょ? マイケル・チャンさん」と発言。詳しくは→
「錦織くんのコーチだって凄く優秀な中国の方でしょ?」 室井佑月さんのラジオでのコメントが話題に(ガジェット通信)
ここで言うまでもなくマイケル・チャン氏はアメリカ人だ。室井さんの年齢からしてマイケル・チャン氏の現役時代も知っていそうなのだが、なんでかこういう間違った知識を堂々と披露している。苗字がチャンだから中国人だと決めつける発想の人物がいくつものテレビやラジオ番組でコメンテイターとして出演している現状がどうかしている。少なくとも公共の電波に乗せるコメンテイターの発言は社会人としての平均以上の知識であるべきだ。中学生、いや中学生でも間違えないようなことを平気で喋る人物が間違った知識を放出することは社会的にも問題がある。その間違った知識を信じた視聴者・リスナーが更にその間違った知識を拡散なんて事態は目もあてられない。
海外での滞在時間の長い身として今回の件は心底憤っている。室井佑月さんはいつものごとく軽い気持ちで間違ったことを言ったのだろうが、この発言、かなりの日本の恥。日本と最も密接な関係にある友好国アメリカで、日本でも人気のあるスポーツであるテニスに於いてアジア系のプレーヤーとして歴史に残る意業を成し遂げた人物の国籍を間違えてまでいちいち発言する浅薄さにこちらまで恥ずかしくなる。百歩譲ってマイケル・チャン氏のことを知らなかったとしても、チャンが苗字だから安易に中国人と決めつける異常なまでの浅はかさが酷い。チャンという苗字だから中国人?今時、子供でもそんな発想はしないのではないだろうか?そもそも、そのラジオ番組で問題の発言が出たときのテーマは国内での中国人や韓国人への感情論だったのだ。そんなテーマの時にコメンテイターがまさに人種・国籍についてモロに差別的な見解を示していることに苦笑している。苗字がどうのとか、外見がどうのとかで、すぐに国籍を断定すること自体が大きな差別を内包しているというのに、まったくもって馬鹿げた発言だ。つまり室井さんは意識してか無意識かは知らないが、マイケル・チャン氏が中国人であって欲しいと願ってしまったのだ。これこそ差別だ。マイケル・チャン氏がどの国の人間であろうとも氏が偉大なプレイヤーであり偉大な指導者であることには変わりがないという現実を差し置いて「中国の方でしょ」なのだ。
もしマイケル・チャン氏がアメリカ人だと最初から室井さんが分かっていたのならば、勿論今回の件では名前すら出さなかったことだろう。なにしろ凄く優秀な中国人の例として挙げたのだから、凄く優秀なアメリカ人では話の流れ上、とても都合が悪くなる。日本人選手がアメリカ人コーチを師事して日本人初の偉業を成し遂げたという事実では、中国人や韓国人を称賛する流れにはならない。しかもマイケル・チャン氏は台湾系アメリカ人なのだ。中国系ではない。で、室井さん、マイケル・チャン氏がなんだって?
余談だが、マイケル・チャン氏が凄いと思った件について。二十数年前にPCエンジンというゲーム機でテニスのゲームがあったのだが、それを友人たちと盛んにやっていた。実名ではないのだが当時の有名プレイヤーらしきキャラクターたちを使用でき、その中に「チャン」という選手もいた。ジョン・マッケンローやビヨン・ボルグをモデルにしたであろうキャラはステータスで足の速さやショットの強力さなどで秀でたものがあってそういった強いプレイヤーを使うと有利だった。ステータスにはスタミナという項目はなく、「チャン」は全てのステータスが並程度のキャラで上級者用のいわばハンデが付いたようなキャラだった。なにしろ脚力も普通、サーブもボレーも普通だったのだ。ゲーム上ではパラメーターに工夫のしようがないくらい必殺技を持たなかった選手が歴代最年少優勝記録を今も保持し、その後、偉大なプレイヤー・マラソンマン(長時間の試合でスタミナ最強の選手としての愛称)として語り継がれている。
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