一応は確率統計をかじっていた身としてはこういうアンケート調査結果を悪びれもせずに堂々と公開するマスコミ各社にはいつも苦笑している。一見、中立性を保っているかのような「アンケート」というやつでさえ、いくらでも恣意的に結果を操作できるものなのだ。このテレビ東京・池上彰氏の選挙特番のアンケートなどはそういう恣意的結果を出す為の具体例として記録に残しておくべきほど露骨なものだ。その理由を以下に記したい。
安倍政権が「すぐに終わってほしい」が320票の第1位であるとこのアンケートでは示している・・・・かのように見えるがデータ統計として考えるとこの表記は明らかに間違っている。正確にはアンケートの質問の仕方が間違っているのだ。なぜか?無効票が無いものとして考えると、「すぐに終わってほしい」と「すぐに終わって
ほしくない」の質問が2択であったのならば、「すぐに終わってほしい」は1000人中320人が選んだ第2位であり、「すぐに終わってほしくない」が680票獲得の7割弱を獲得した第1位となる。
ところがこの調査では「すぐに終わってほしい」以外に複数(多数)の「すぐに終わってほしくはなく少なくともある程度の期間の継続を望む選択肢」を回答者に与えた為に「安倍政権の継続を望む声」の細分化を図っている。アンケートでは、半年以内、1年くらい、2年くらい、3年くらいと多岐に渡る選択肢を用意することで継続希望票のいわば票割れが起きている。これはフェアではない。
実際には1年~3年くらいの安倍政権の引き続きの政権運営を願っている声は115+123+99=337となり、第1位の「すぐに終わってほしい」の320票よりも多数派だ。しかもこういうアンケートを取るときの前段となる回答者への情報提供とその内容、また時期、例えば安倍政権の印象が良くない報道があった直後などによってだいぶアンケート回答結果は左右される。「いつまで続いてほしいか?」等という質問のされ方をすると「(すぐに)終わってほしい」と誘導されてしまう回答者もいたことだろう。本来は「いつまで続いてほしいか?」などというガラの悪い訊き方ではなく、「安倍政権の継続を望みますか?」と質問した後に「継続を望む場合はあとどのくらい任せたいですか?」と質問を2段階にするべきことだ。本当に正確なデータを採取したいアンケート調査では2段階にして質問することが多々ある。先ずは「Yes/No」で大きく区分けてから具体的な質問に移った方が回答者も具体的かつより希望に近い、もしくは希望そのものの回答が可能となる。皆さんもそういうアンケートに触れたことがあることだろう。ところがこの番組の姿勢はおかしなことになっている。2段階質問にしてしまうと、「すぐに終わってほしい」という回答がせいぜい3割強の少数派となってしまい目立たなくなる。自公圧勝で更に安倍政権継続希望の国民も過半数を遥かに超えているとなると面白くない者たちが番組関係各位にいたのかもしれない。要は「それでは安倍政権継続を否定的に放送できない!」ということだ。番組側のセコい思惑が透けて見える。
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