AIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加表明をしない日本政府の対応について国内の一部の経済団体などから懸念の声が上がっている。先に当ブログの結論を言えば、参加しないで大正解だ。イギリスなどのG7からも駆け込み参加表明が続いており今や参加国45ヶ国となかなかの規模となる予定のAIIBだが中国主導であり、最初の総裁も中国人が就任する可能性が非常に高い。
インフラ投資という名のついている銀行ではあるが、そのインフラが中国の軍拡の布石になることも明白であり、日本がわざわざ中国の侵略主義に加担することはない。ましてや日本もアメリカも参加しないAIIBはまさに円とドルから無視された投資銀行となり、その脆弱性たるや話にならない。中国が必死で支えるのであろうが、他の44ヶ国は烏合の衆とまでは言わないが「それどころではない国々」の集合体であり、中国の軍拡に付き合ってなんとか発展途上の地域のインフラ工事を受注したいという魂胆での参加でしかない。ある意味、分かりやすい関係ではあるが、日本やアメリカが長年参加してきたアジア開発銀行とではその質も信用度も雲泥の差だ。アジア開発銀行は動きが遅いと批判される向きもあるが、それだけ投資先の将来性や環境保全に配慮した徹底した調査・分析後の投資であるが故に時間がかかっている面がある。中国主導のAIIBは投資までの流れは速いがその審査も投資プロセスも杜撰なことになるだろう。中国の戦略的に有利な地域への投資に偏り、そして中国人民解放軍の経由地点や拠点となる軍港や橋の建設にはすぐに投資決定が下され、目的が達成された後の地域社会の整備などはおざなりになることだろう。そんな投資に日本が参加する必要はない。
アメリカが激怒していたが駆け込み的なイギリスの突然の参加表明など雪崩式に参加表明が相次いだこともどうにも怪しい。駆け込み参加表明国の顔ぶれを見ると、どうにも経済的に行き詰っている国々が目立つ。あわよくばインフラ工事を受注しようとしている国々ばかりで、AIIBの場合はどうにもアジア開発銀行のような投資先の発展途上の国々の未来まで考えているのか怪しいものだ。「とにかく工事させろ!」って、そんな投資銀行を受け入れる国は中国の軍門に下りますと宣言しているようなもので、そういう国の政権、つまり長期的な国益よりもとにかく現政権にお金が欲しいとする政府が長続きするとも思えない。確かに国民のことなんてまったく無視で政権維持に努める政府はこの世界に少なからず存在する。そういう政府が居座っている開発途上国のインフラ整備を中国主導の投資銀行が担うって、もうその時点で破滅的だ。開発途上国と投資元である中国による、「人民ではない 人民によらない 人民のためではない投資」といったところか。
日米が参加しないことにより一番不安になっているのはAIIBで主導権を握る中国だろう。それを中国が表に出すはずもないが、日米不参加の世界投資銀行なんてまるで悪い冗談だ。他の参加44ヶ国が莫大な資金を中国に無駄使いされて激怒しながらも資金は回収できないという未来が見えている。そもそも本当に機能する投資銀行なのかさえ疑問が残る。日本は参加しないことで間違っていない。様子見すら時間の無駄な投資銀行だ。
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